「血管炎長引く痛み」

投稿日:2014年3月18日|カテゴリ:医療コラム

全身の血管に炎症が起こる血管炎。ソチ五輪ノルディックスー・ジャンプ団体で銅メダルに輝いた竹内択選手が試合後、難病の血管炎を患っている可能性があると公表し話題になりました。
血管炎の症状は感染症や、がんに似た面があり、専門の医師でないと診断が難しいとされています。
ただ、ステロイドなどが効果があるそうで、薬を飲み続ければ症状を抑えられる例が多いようです。

竹内選手が患っている可能性が高いのは『アレルギー性肉芽腫性血管炎(チャーグ・ストラウス症候群)』。
白血球の一種が増えて血管に炎症が起こり、気管支ぜんそくやアレルギー性鼻炎の人がなりやすく、手足のしびれや関節・筋肉の痛みを伴います。
脳内出血や心筋梗塞などが起き、命に関わる場合もあるびょうきです。国内に推定患者は1,800人いると言われています。
血管炎全体の患者数は、はっきりとはしていませんが、増加傾向にあるとみられています。
そのうち、一部が難病に指定され国の医療費助成を受けており、その患者数は2万人を超えています。

【血管炎とは】
全身の血管の壁に炎症が起こる病気の総称です。
血管は全身に栄養分や酸素を運んでいる為、炎症が起こると破れて出血したり詰まったりして、さらに炎症が悪化します。
さらに血管が詰まった先の組織が壊死するなど、様々な臓器に障害が出ます。

■原因
病原体などから体を守っている免疫システムの異常だと専門家の多くが示唆しているが、はっきりした原因は不明です。
免疫力が強まり血管自体を敵と見なして攻撃しているという説や、体内に入ってきた異物が免疫の力で血管の内側にくっつくことで炎症がおきているとの説が出ています。

【初期症状】
いくつかのタイプがある血管炎ですが、いずれも発熱と痛みが主な初期症状としてあらわれるようです。
数週間にわたり続く例が多く、38℃を超える高熱が出て、節々や筋肉が痛みます。
からのだるさもあり、症状はインフルエンザなどにも似ています。初めは感染症と見分けが付きにくいと言われています。

■血管炎に起こる主な症状
・こめかみの痛み
・高熱
・眼の充血・視力の低下
・鼻血・鼻づまり
・脈が弱る
・気管支・肺の炎症
・関節の痛み
・手のしびれ・力が入らない
・内出血による紫斑

【血管炎のタイプ】
・太い   大動脈炎症候群/側頭動脈炎
・中程度  結節性多発動脈炎
・細い   顕微鏡的多発血管炎/ウェゲナー肉芽腫症/アレルギー性肉芽腫性血管炎/悪性関節リウマチ

【治療法(投薬)】
治療には炎症や免疫を抑える薬を使うのが一般的です。
ステロイドを投与し炎症を鎮めます。
ステロイドの長期間使用は良くない為、徐々に薬の量を減らしながら免疫抑制剤も使うなどの対策が必要と言われています。
■副作用として
ステロイドは長期間使うと骨がもろくなったり感染症にかかりやすくなります。
薬を減らしたりやめたりすると再び悪化するケースもあり、少量のステロイド投与を続けて再発を防ぐ例が多いようです。

■血管炎を予防するのは難しいとされていますが、原因不明の高熱が続き、あちこちに痛みがあったり体重が減ったりしたら、放っておかずに受診する。
これらの症状が発症したら早期に医療機関を訪れる事が大切です。