「夜勤で時差ボケ改善のススメ」

投稿日:2014年2月25日|カテゴリ:医療コラム

深夜を含む交代勤務で、時差ボケが問題になっています。体内時計が乱れ、夜は目がさえ朝方に眠くなる悪循環から体調不良に陥りやすくなっています。
海外旅行では話題になりますが、昼夜活動する24時間社会によって日ごろから備える必要が出てきました。

人間は昼間の明るいうちに行動する生き物で、朝日が昇ると活動を始めて日が沈むと眠りに落ちて体を休めます。
こうしたリズムを維持するために、体内でリズムを刻む体内時計を持っている。夜になると眠気を催し、日中は体温や心拍数があがってきます。
差ボケが数日ではなく数カ月から数年にわたって続くと「高血圧や糖尿病、がんの発症リスク」が上がります。

【光で体内にリズム】

飛行機で海外に出かけると時差ボケになるのは、体内時計の刻む時間と、日の出や日没に伴う自然の時間に大きなずれが生じるからです。
体内時計がすぐに自然の時間に同調するのであれば時差ボケは起きないが、そう簡単ではありません。
このため生活のリズムが大きく変わると、時差ボケにいつまでも悩まされます。
数日間の海外旅行であれば、楽しさが優先して気にならないかもしれません。
問題は昼夜逆転の勤務や、夜間や昼間の勤務を交互にするシフト制の方々です。

[体内時計について]
体内時計はかなり頑固で「視交叉(しこうさ)上核」という脳の部分が体内の時刻を管理していて、全身の細胞に時刻を知らせる役割をしています。視 交叉上核は目から入った光の情報によって正確な時刻を刻んでいます。体内時計のリズムは1日や2日で変わらず、1日2時間程度をずらすのが精いっぱいで す。しかも、時差ボケが数日ではなく数カ月から数年にわたって続くと「高血圧や糖尿病、がんの発症リスク」が上がります。

朝に起きて夜に寝る生活が体に合っているのはわかっているが、看護師など夜間勤務が避けられない職種があります。慣れなどから、ひどい睡眠障害がなかったとしても時差ボケの影響は残ります。

【体内時計が乱れない工夫】
・朝日を浴びるようカーテンを少し開けて寝る
・朝食をとる
・日中に眠いときは15分くらいの仮眠をとる
・夕食はあまり遅くとらない
・深夜にスマートフォンやテレビ、パソコンの光を浴びすぎない
・夜勤の場合、日中に2時間ほど仮眠をとると疲労がへる
・ローテ勤務の場合、日勤、夜勤を交互にするより連続する方が負担が減る
・旅行や出張時は、飛行機に乗ったら腕時計を到着地の時刻に合わせて食事をとる

【お昼寝で疲労軽減】

仕方がないと諦める前に、工夫の余地はあります。
例えば、8時間勤務のシフト作りです。1週間のうち月、火を朝から、水、木を昼から、金、土を深夜の勤務にするシフトは、海外旅行にたとえると日本に2日、欧州に2日、米国に2日と、かなりの強行日程を過ごしているのと同じ状態になります。これでは体はもちません。

そこで改善例として、日勤を5日続けて1日休み、次に昼や夕方からの勤務を5日して1日休み、さらに夜勤を5日した後で3連休をとる方法があります。
実際に試した企業では、勤務者の1カ月の疲労度が40%も減らせたといいます。
また、夜勤前の昼に2時間ほど仮眠をすると勤務中に訪れる眠気がとれて疲労度も軽減できるといいます。

海外出張や海外旅行での短期の時差ボケ対策として勧めるのは、食事によるコントロールです。
飛行機に乗るとすぐに腕時計の時刻を到着地の時間に変える。食事を決まった時間にとって体に思い込ませる。体内時計の調整は光が最も効果的ですが、食事によってもある程度調節できます。
また、朝日を浴びて目覚めるようカーテンを開けて寝たり、一日1度は太陽の下を歩いたりするよう心がける様にしましょう。
不規則な生活は、体を時差ボケの状態にさらすのと同じ。海外旅行の思い出ならまだしも、大病の引き金になりかねないことを覚えて置きましょう。