「長引く咳にご用心」

投稿日:2013年12月25日|カテゴリ:医療コラム

風邪をひきやすい季節は咳が続いても「風のせい」と考え市販薬を飲んで過ごす人も多いでしょう。しかし、長引く咳や決まった生活の局面で起こる咳などは風邪以外の原因が考えられます。注意すべき咳の特徴と、治療のポイントを紹介します。

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長引く咳の主な原因と特徴
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【咳ぜんそく】
・夜間や明け方に咳が出る
・たばこや香水の臭いをかいだ時、ペットの家に行った時など決まった局面で咳が出る
・風邪をひいたあとに咳だけ残る
・家族にアレルギー体質の人がいる

気管支拡張薬と吸入ステロイド薬で治療します。多くの場合は1~2週間で症状が治まりますが、気道の炎症が完治するまで少なくとも2~3カ月の治療が必要です。

【逆流性食道炎】
・横になると咳が出やすい
・食後に咳が出る
・胸やけがする
・口に苦いものが上がってくる

逆流した胃液や胃の内容物が気管に入った刺激で咳が出ると考えられており、咳ぜんそく患者の約4割が逆流性食道炎だという欧米の報告があります。プロトンポンプ阻害薬という胃酸の分泌を抑える薬を約2カ月ほど服用するを1~2週間で徐々に症状は治まります。

【慢性副鼻腔炎】
・のどがゴロゴロして咳がからむ
・鼻水がのどに落ちる感じがする
・口臭が気になる

鼻水が鼻の奥からのどに落ちることで気管支に炎症が起こり長引く咳の原因となります。抗菌薬と去たん薬での治療になり、3カ月以上の薬の服用が必要になります。

【結核】
・血の混じったたんを伴う咳が出る

血の混じったたんを伴う咳はもちろんのこと微熱が続く、寝汗をかくといった症状がある場合は診察を受ける必要があるでしょう。

【慢性閉塞性肺疾患(COPD)】
・息切れする
・昼間動くと咳がでる
・動いた時に苦しい
・喫煙歴がある

症状が悪化すると肺の機能や体力が低下するので早期の治療が好ましいです。

【百日咳・マイコプラズマ・クラミジアなどの感染症】
・風邪のような症状があった
・成人が百日咳にかかると咳は出るものの比較的元気で熱が出ないことが多い
・マイコプラズマ感染症は咳が弱いことも強いこともある
・マイコプラズマ肺炎は50歳くらいまでの健康な人がかかりやすい

【薬の副作用】
.・高血圧治療薬アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬の副作用で咳が出ることがある

【海外旅行帰国後の軽い咳】
東南アジアの風疹流行国へ旅行に行って風疹に感染してしまうことがあります。成人の場合5人に1人は症状が出なかったり軽い咳や微熱のみで治って しましますがその場合も感染後2週間ほどは人にうつす可能性があります。旅行前に風疹のワクチン接種を済まし旅行後2週間以内に風邪のような症状が出たら 人の集まる場所を避け診察を受けましょう。