逆流性食道炎

投稿日:2013年3月13日|カテゴリ:医療コラム

私たちにとって身近な症状の一つである胸やけ。その原因となる逆流性食道炎の患者が増えているといいます。症状を改善する新薬が次々と登場していますが、薬に頼るだけではなく生活改善が重要なポイントです。

【逆流性食道炎とはどんな病気】

胃散や消化酵素を含んだ胃の内容物が食道に逆流することによって、食道粘膜に炎症などが起こる病気です。
食道と胃との間には食道下部括約筋という、弁やバルブの役割をする筋肉がありますが、この筋肉は肛門の括約筋などよりもずっと力が弱く、前屈みの姿勢を続けたり、食事やストレスで胃散の分泌が増えたりすると、胃散が食道に漏れて胸やけが起こります。

【逆流性食道炎の症状】

◆お酒の飲み過ぎ、満腹後、ストレスを感じる時などに起こる、みぞおちからノドにかけて焼けるような刺激
◆狭心症に似た胸の痛み
◆咳・喘息
◆逆流した胃液で、のどに炎症が起こり、違和感や痛みを感じる

【逆流性食道炎の原因】

◆日本人の食生活が欧米化し、肉類、脂肪類の摂取が増えたことにより、これらを消化するために胃液がたくさん分泌されるようになったため。
◆加齢によるもの、年をとると、下部食道括約筋の働きが悪くなります。また、食道のぜん動運動、唾液の量なども少なくなるため、逆流した胃液を胃に戻すことができなくなります。
◆肥満など

【逆流性食道炎の検査法と診断】
逆流性食道炎の診断は、問診、内視鏡検査などにより行われます。

◆内視鏡検査
胃カメラを口か鼻から入れ、モニターで食道の粘膜の状態を確認する検査です。
びらんや潰瘍がみられるか、重症度はどれくらいかが分かります。

【逆流性食道炎の治療法】
薬物療法と生活習慣の改善が治療の中心です。重症の場合は手術をすることもあります。

◆薬物療法
プロトンポンプ阻害剤と呼ばれる胃液の分泌を抑制するタイプの医薬品で症状が改善されます。

◆生活習慣の改善
薬物療法で症状を改善しても、食道や胃の粘膜を正常にもどさないといけないため、
・運動習慣で肥満解消
・暴飲暴食、食後のゴロ寝、夜食NG
・背筋をまっすぐに伸ばす
・おなかが楽な衣服を身につける
・上半身を高めに眠る
・禁煙。酒の飲み過ぎを控える

◆手術
生活習慣の改善や薬で効果がなかった時、再発を繰り返す時には、手術を行うことがあります。最近は、内視鏡の一種である腹腔鏡を使った手術が増えてきています。

【逆流性食道炎の日常生活の注意点】

胸やけは日常的に起きる症状のため「自分は胸やけする体質なんだ」とあきらめてしまう事も多いですが、生活習慣を見直せばより快適に生活することができるようになります。
精神的なストレスも食道の働きを弱くして、胸やけの原因となるため、仕事が終わった後、軽く体を動かしたり、好きな趣味の時間を持つなど上手にリフレッシュすることが重要です。

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逆流性食道炎は、もともと日本人には少ない病気でしたが、食生活の変化などによって、最近、患者さんが増えています。また、胸やけは生活習慣病の一つでもあります。
もしかしてと上記に該当する場合は、一度ご相談ください。