大動脈瘤

投稿日:2012年10月30日|カテゴリ:医療コラム

大動脈瘤は心臓から全身に血液を送る大動脈の壁が瘤(こぶ)のように膨らむ病気です。
ある日突然、大動脈が破裂すると大出血を起こし、高い確率で死に至ります。また、自覚症状がほとんどなく進行するため、「サイレントキラー」と呼ばれます。
厚生労働省の調査によると、この病気による年間の死亡者数は約1万5000人だそうです。

【主な原因】
瘤ができる主な原因は動脈硬化。
血管壁がもろくなり高血圧の影響で瘤ができる。
直径2〜3センチだった大動脈が1.5倍以上に膨らんでしまい、それが限界を超えると破れる。

【患者】
動脈硬化は年齢とともに進むので、誰にでも起こりうる。
患者は70〜80代が中心。
男性が女性の約4倍。

【症状】
発症すると病院に運び込まれても約半数が亡くなると言われるほど致死率が高いが、大動脈に瘤が出来ても自覚症状はまずない。
大半の患者は破裂直前に激しい痛みに襲われる。
破裂したら大出血を起こしショック状態になることもあり、非常に危険。

※そこで重要なのが破裂する前に治療すること。
健康診断や人間ドックなどで瘤が見つかる例も多い。エックス線検査で疑いがあり、CTなどで詳しく調べたら特定できたといった具合。

【治療】
治療は大動脈の瘤の部分を人工血管で置き換える手術が一般的。これは破裂の前後で変わらない。
腹部ではステンドグラフトという器具を使う血管内治療が普及している。
従来の腹や胸を開き人工血管で置き換える手術と比べ、患者の負担が小さい。手術をしても1週間程度で退院できる。
血管の形状などから適応しやすい腹部では手術の半数以上で使われている。

大動脈瘤は決め手となる予防法はなく、この病気のためだけに定期的にCT検査などを受けるのは医学的証拠が不足しており推奨されていません。
ただ、食生活や運動などに普段から気を配り、動脈硬化の進行を遅らせればリスクを下げらます。
反対に高血圧や高脂血症、たばこはリスクを押し上げる要因です。