白内障手術はいつする?〜増える40代 自己診断は禁物・目安は生活に困り始めたら〜

投稿日:2015年8月24日|カテゴリ:医療コラム

今まで高齢者の病気というイメージが強い白内障でしたが、最近では40〜50歳代でも「より快適な見え方」を求めて白内障治療を行うケースが増えてきています。
早期治療が増加した背景には、目内レンズを用いた治療技術が進歩し、体への負担が少なくて済むようになってきたことがあげられます。

白内障は少しずつ進行する病気のため、「いつ治療を受けるか」を判断する目安として「生活に困るようになったら」というところを基準にすると良いです。
車の運転や機械操作に必要な視力が出ない、テレビのテロップが分からない、夜道では何も見えないなどあれば、治療を受けることを考えてみましょう。

しかし、どんな手術にもメリットとデメリットがあるため、医師とよく相談し、選択していくことが大切です。

【白内障の症状】
白内障は目の中の透明のレンズ(水晶体)が白く濁り、視力が低下する病気です。
タンパク質の濁り以外にもその外側の殻や水晶体を支えるチン小帯の変化が現れる場合もあります。

・かすみがかったように景色がぼやける
・物が見えにくい
・遠くも近くも見えにくい
・明るい所がまぶしく感じる
・薄暗くなると薄い字が見えにくい
・視力(遠くも比較も)が低下

【白内障の原因】
■30歳代以前に起こる場合
若年性白内障に分類され、下記の原因があげられます。

・アトピー性皮膚炎や喘息などでステロイドを長期間服用した場合
・目のケガ
・先天性の病気

■40歳〜50歳代で起こる場合
加齢に伴う白内障が早期に進んだ結果とされ、下記の原因があげられます。

・若いころに紫外線を浴びすぎた
・糖尿病・高血圧などメタボリック症候群が進行を早めている

【白内障に若い人が早期に気がつくコツ】
「左右で見え方が異なるか」が早期発見の目安にあるため、下記の症状が見受けられる場合は一度医師の診察を受けることをお勧めします。

1)片方が暗く見える
2)色が違って見える(黄色くなるなど)
3)片目で見ると、物が2重・3重に見える

【最近の白内障手術について】
現在、広く行われている方法は「超音波乳化吸引術」であり、手術の流れを簡単に説明します。

1)目薬により麻酔を行って角膜を2〜3㎜切り、水晶体のタンパク質の殻の全面を切り取る
2)切り取った部分に超音波チップを入れて濁った水晶体を細かく砕き、ストローな装置で吸い出す
3)吸い出しところに度数を合わせたレンズをはめ込む
4)他の持病によってことなるが、特に大きな病気がない場合は手術当日に帰宅できる

【白内障手術のデメリット】
白内障手術では目のピント調整力までは直せません。目の治療用のレンズの度はその人の生活に合わせるため、中距離に合わせれば手元が見えにくい老眼となりやすく、眼鏡が必要となります。
また、手術によって視野が明るくなるので、目の前に虫のような黒い点が浮かんで見える飛蚊症(ひぶんしょう)など、今まで気が付かなかった症状があらわれることもあります。

治療用のレンズの影響で老眼鏡をかけたくない場合は「多焦点眼内レンズ」という選択もありますが、健康保険が使えません。「先進医療」が認めれている病院などでも片目36万円以上かかります。
金額だけではなく、見え方も気をつけたほうがいいです。多焦点の眼鏡と構造が違い、遠近それぞれに焦点があった2つの像が網膜に重なって映ります。そのた め、遠近共にくっきり見えるまでに慣れが必要となり、ぼやけて見えることもあります。事前によく説明を聞いて、納得した上で治療を受けましょう。

【若いうちからできる白内障予防策】
・18歳までに一生あびる紫外線のうち半分量はあびていると言われているため、スポーツなど長時間屋内にいる場合はスポーツ用サングラスを着用する
・ウォーキングなどの有酸素運動を習慣化する
・緑黄色野菜、ビタミンCなど抗酸化成分を含む食材を取る
・軽度の白内障が見つかった人は、眼科で処方される目薬で効くこともある

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白内障の症状が少しでも見受けられたら自己判断はせず、医師のアドバイスを受けて予防や生活改善をベースに進行を遅らせる努力をしましょう。もし、手術が必要になった場合は、リスクも把握した上で治療を選択しましょう。