腱鞘炎からばね指に

投稿日:2015年4月27日|カテゴリ:医療コラム

【腱鞘炎とは】
指の使いすぎなどで起こる腱鞘炎は痛みを伴います。さらに曲げ伸ばししにくくなると「ばね指」と呼ぶ状態になってしまいます。
腱鞘炎は腱と腱鞘がこすれあって炎症が起こり、指を動かすたびにこすれると、進行して引っかかりが生じ、ばね指になります。
手を握る際などに、指の付け根や関節に痛みが生じ、重症化すると指を曲げ伸ばしする際にゴリッという音が起きて、激しい痛みを伴うこともあります。

【腱鞘炎の原因】
腱鞘炎や、ばね指の最大の原因は指の使いすぎによるものです。
下記のような人は腱鞘炎に要注意です。

■重い荷物を持ち運びする
■パソコンやスマートフォンを長時間使う
■野球やゴルフなどのスポーツ、ギターやピアノ演奏などで指をよく使う
■妊娠出産期、更年期の女性
■糖尿病、関節リウマチなどを患っている

【腱鞘炎の治療法】
指に痛みが出たり、曲げ伸ばしの際に引っかかりを感じたりするときの症状改善の基本は、手を休めることです。握る動作などをなるべく控えることが重要です。
また、氷水を入れたビニール袋を指や手のひらにあて、4〜5分間冷やして腱の炎症をおさえることも有効です。
ただし、日常生活では手を使わずにいることは難しく、痛みや違和感が改善しなときは、早めに医療機関を訪れるのが得策です。

消炎鎮痛剤などでよくならないときは、腱鞘の内部にステロイド剤を注射します。これは、腱の炎症を抑え症状の回復を狙う治療になります。
炎症がひどい、ばね指などの場合は、腱がひっかかる腱鞘の一部を切り取り腱がスムーズに動くように手術します。
手のひらの中央上部にある腱鞘を切るのが一般的で、傷痕は1cm程度です。手術時間は15〜20分程度で日帰りで実施できます。

【腱鞘炎の予防法】
腱鞘炎やばね指を防ぐための工夫もあります。
たとえば、キーボードを打つときに、手の甲を手前に反らせて作業すると、手の甲の付け根にある腱が炎症を起こしやすくなるので、なるべく薄いキーボードやノートパソコンを使い、手首の下に厚手のパッドやクッションを敷き、手の甲を反らさずに作業できるように心がけるようにします。
また、普段から入浴時に手をグー・パーと動かすと、腱や腱鞘を柔らかく保つことに有効です。