目が真っ赤! 結膜下出血・充血に気をつけよう

投稿日:2015年2月9日|カテゴリ:医療コラム

朝、鏡を見たら目が真っ赤でびっくりした――。こんな経験を持つ人もいるはずです。目が出血したり充血したりする原因はさまざまです。 しばらく放っておけば自然に治る場合もありますが、深刻な病気が潜んでいるケースもあるので安心はできません。
気になる症状が出たら眼科の診断を受け、どんな病気なのかはっきりさせたうえで、どうするか決める必要があります。

【目の出血、充血の様々な疾患】

目の痛みや視力低下などがなければ、白目を覆っている眼球結膜の細い血管が切れて出血する結膜下出血と判断します。見かけはおどろおどろしいですが、ほとんどの場合、出血は1週間ほどで消えるので心配いりません。
出血の原因はよくわかっておらず、年齢とともに血管が弱り、目に入ったごみやまつげなどによる、ちょっとした刺激で切れてしまいます。年を取ると眼球結膜がたるむ膜弛緩(しかん)症結も増え、血管が曲がり、出血しやすくなると考えられています。
血圧が高い人も結膜下出血を起こしやすく、重い物を持ち上げたり息んだりした拍子に出血する例もあります。
脳梗塞の経験があり血液を固まりにくくする薬を服用する人なども、出血しやすくなっています。

結膜下出血は何回も繰り返す例が多いです。出血した箇所に、治そうとする体の働きによって新しい血管ができるが、弱いためにすぐ切れてしまうのが原因です。
広がった血液は重力によって徐々に下がり、やがて吸収されてなくなります。出血したら冷やすのがよいと思いがちですが、この症状の場合は逆に蒸しタオルで温めると血液の吸収が促されます。

出血から何日もたつのに血が止まらず増えていく場合は、白血病など血液の病気も疑われます。患者数は少ないですが主にエンテロウイルスへの感染で起きる急性出血性結膜炎という病気もあります。
感染すると1、2日で発症し、大量の目やにが出ます。学校保健安全法で、医師が感染の恐れがないと認めるまで出席停止とするよう定めています。

また、高齢者などに多い見えない出血もあります。網膜に穴が開く裂孔原性網膜剥離です。網膜の血管が破れ、ゼリー状の球である硝子体に血液が入ります。
外からは赤く見えないが眼底検査でわかります。稲妻のような光が走り、小さなごみや虫が飛んでいるように見える飛蚊症(ひぶんしょう)になりやすい。
2、3日以内ならレーザー光で穴が開いた部分を固めて治療できます。

目が赤くなる症状には出血のほかに充血があります。炎症による動脈血管の拡張や、静脈を通る血の流れが滞る鬱血で起き、出血ほど派手な赤さではないが病気のサインかもしれません。

【目の出血、充血の原因と症状など】

■ 出血(血が広がる)
– 結膜下出血
・痛みや違和感などの症状はない
・目やにはでない
・重いものを持ったり咳をしたりした程度で起きる
・1週間程度で消える
– 急性出血性結膜炎
・ウイルス感染が原因で他人にうつる
・大量の目やにが出る
・潜伏期間は1、2日
・学校は医師が認めるまで出席停止
– 裂孔原性網膜剥離
・硝子体に血が入るが外からは見えない
・飛蚊症を伴う
– 白血病
– 打撲など

■ 充血(血管が赤く見える)
– 流行性角結膜炎
・ウイルス感染が原因で他人にうつる
・大量の目やにがでる
・耳下のリンパ節が腫れる
・潜伏期間は1週間程度
・学校は医師が認めるまで出席停止
– アレルギー性結膜炎
・花粉症やハウスダストのよる
– ドライアイ
– ぶどう膜炎
・まぶしく感じ痛みもある
・視界がぼやける
– 強膜炎
・リウマチなどの全身疾患を合併
– 結膜腫瘍など

【要因と対策】

今の季節は花粉症などのアレルギー症で充血を起こす人が多く、かゆみを伴い粘りけのある目やにが出ます。
花粉が飛び始める2週間ほど前から1日4回程度、目薬をさすとひどくならずに済みます。似た症状はハウスダストやペットの毛が原因でも起き、ほこりっぽい職場も要注意です。
コンタクトレンズには花粉やほこりが付きやすいので、使い捨てタイプを使うとよいでしょう。

充血しさらっとしたきれいな涙が出る場合は、乾燥で障害が起きるドライアイが疑われます。朝よりも夕方に充血しているかなど、症状がひどくなる時間帯が正確な診断のヒントになります。

充血は感染症で起きることも多いので要注意です。主にアデノウイルスへの感染が原因の流行性角結膜炎は「はやり目」とも呼ばれ、抵抗力の弱い子供がかかりやすい。
急性出血性結膜炎と似ているが出血せず、潜伏期間が1週間程度とやや長く、耳の下のリンパ節も腫れます。
アイシャドーも目の細菌やウイルス感染の原因になりやすく、まつげの生え際の脂が出る部分が詰まって炎症を起こします。
繁殖したウイルスや細菌が角膜に移り感染が広がります。まぶたはきれいに保ち、化粧はしっかり落とすことが大切です。
感染者が触れたドアの取っ手やつり革などに別の人が触れ、その手で目をこするなどしてうつるケースもありますので、こまめに手を洗い、清潔に保つよう心がければ感染はかなり防げます。