「腰背の痛み、放置しないで 〜重大な内臓疾患場合も〜 」

投稿日:2014年10月20日|カテゴリ:医療コラム

腰や背の痛みが気になるが、マッサージをしてもよくならず、整形外科でレントゲンを撮っても骨などに異常がない。このような場合、内臓疾患が隠れていることがある。
最近では、こうした痛みに対し、早期に診断を下して専門医と連携して治療をする総合診療科も登場している。

内臓の病気なのに、どうして腰や背中に痛みが出るのか、イメージしにくいかもしれない。
内臓に異変が生じると、一般的にそれぞれの臓器に対して、体の表面の特定部位に痛みや圧痛が出る。
圧痛とは、押された時に強く痛みが出ること。腰や背中に出るこれらの痛みは「関連痛」と呼ばれ、おおよその出現場所は、下記のようになっている。

<腰や背中の痛みをセルフチェック>
体を動かしたときに
・いつもと違う、急な痛みがある
・痛かったり、痛くなかったり強弱を繰り返す
⚫︎ほかに何も症状がなければ → 筋肉痛など骨格系疾患の可能性
上記の痛みに加え、以下の兆候がある場合は内臓の疾患かもしれない
⚫︎血尿、排尿違和感、夜トイレに起きる → 腎・泌尿器疾患
⚫︎食事を取ることで悪化  → すい臓疾患
⚫︎痛みの始まった時間が正確に分かる → 血管疾患
⚫︎発熱、汗  → 感染症(婦人科・泌尿器科)
⚫︎息切れ、脈が上がる(100以上)  → 心臓疾患
⚫︎不正出血、無月経、月経過多 → 婦人科疾患

腰背の痛みを引き起こす病気の中で一番多いのが、腎臓・泌尿器科系由来の疾患だ。
腎臓は血液の老廃物を除去する働きがあるので、正常に動かなくなると毒素が体内に溜まる。
腎臓そのものは痛まないが、腰痛のほかに、排尿の違和感、トイレが近い、血尿や食欲不振、発熱なども鑑別法としてある。
腎臓結石は激痛を伴い、腎盂炎や腎炎の場合は高熱と腹痛・背中の痛みがある。

消化器系由来の疾患では胃潰瘍があるが、腹やみぞおち以外に腰の痛みを訴える人がいる。通常の痛みと違うのは食事と関連して出ること。十二指腸潰 瘍は空腹時に腰が痛くなる。肝臓で分泌される胆汁の貯蓄をする胆のう原因のこともある。胆汁の成分が固まってできる胆石や、発熱が起きる胆のう炎でも腰痛 が起きる。

すい臓は、炭水化物や脂質、タンパク質を分解するすい液消化酵素を分泌する臓器だが、臓器内の細胞破壊で背中に痛みが発生するすい臓がんなどがある。

心筋梗塞や大動脈解離などでも背中が痛む。突然の激しい、耐え難い痛みに加え、息切れも起きる。