「寝ながら叫ぶ・暴れる レム睡眠時の病気かも」

投稿日:2014年9月1日|カテゴリ:医療コラム

●レム睡眠行動異常症とは

就寝中は浅い眠りの「レム睡眠」と深い眠りのノンレム睡眠を繰り返します。このうち夢を見るのは脳が覚醒した状態に近いレム睡眠の時です。通常は呼吸筋などを除く全身の筋肉の運動を抑える指令が脳から出るため夢をみても起き上がって動き回ることはないといいます。

しかし、レム睡眠行動異常症の場合は浅い眠りの時に見る夢と同じ行動を現実に取ってしまいます。これはレム睡眠を制御する脳幹になんらかの異常がある為と考えられます。国内の患者は10万人に達するともいわれます。

●こんな症状のある方はレム睡眠行動異常症かもしれません

・睡眠中に怒ったような叫び声を上げて、寝たまま手足をばたつかせる。
・起き上がって人を殴ったり窓から飛び降りたりする。
・見ている夢と同じ言動をとる。
・起こそうとすると本人は起き、見ていた夢を覚えている。
・症状は1回あたり30分以内で終わる
・1晩に2〜3回、症状を繰り返すことがある。

●診断について

症状を訪ねたうえで患者の睡眠状態を一晩中観察します。このとき眠っている患者の言動や身体の動き方を観察するとともに、脳波や眼球の動きなども参考にして確定診断を下します。

●治療について
自然に治療することは難しく、薬での治療が必要になります。保険は適用されませんが「クロナゼパム」と呼ぶてんかんの薬などを服用することが多 く、9割近くの方の症状が和らぐといいます。薬が効く仕組みは明確になっていませんが見る夢の内容と実際の言動の両方を穏やかにする効果があるといいま す。

その他、酒を飲む量や回数が多い人は酒を控えたり、職場や家庭のストレスが多い場合は出来るだけストレスを減らす工夫をするといいでしょう。興奮しやすいテレビ番組を就寝前に見るのを避けるのも一つの方法です。

●その他の睡眠に関わる病気
夢遊病ともいわれる「睡眠時遊行症」は「レム睡眠行動異常症」とはまた別の病気です。
遊行症は主に子供が寝ている最中に立ち上がって歩くなどの症状が出ます。これは脳が未発達なために起きると考えられており、成長すると治る場合が 多く、さほど心配しなくてもいいといいます。子供が就寝中に突然泣き叫んだりする「夜驚症」も同じです。いずれもノンレム睡眠時に起こり、翌朝は何も覚え ていないといいます。

睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合は昼間の居眠り運転などにつながるため治療が必要になります。

レム睡眠行動異常症は重傷化すると眠っている間に大暴れをして本人だけではなく、家族を傷つけてしまう恐れもあります。気になる症状のある方は早めに医師に相談することをおすすめします。