「喉のがん、声失う前に早期治療を」

投稿日:2014年8月22日|カテゴリ:医療コラム

【咽頭がんや喉頭がんとは】
口腔がんを含む喉のがんを2010年に新たに発症したのは約2万人で、がん患者全体に占める割合は2.5%にとどまりますが、機能が集中しているので、がんができた場所や大きさによっては生活の質(QOL)の低下に直結しやすいと言われています。
がんを手術で取ると周辺組織の働きが低下し、発声や飲み込み、呼吸などの機能を損ないやすいです。

【咽頭がんや喉頭がんの主な原因】
最近、がんの原因として注目されているのがウイルスです。中咽頭がんでは、「子宮頸がんの主な原因のヒトパピローマウイルスに関係するタイプが増えている」と指摘されています。
口を使った性交渉による感染などが原因といいます。
・上咽頭がんは国内患者は少ないですが、子供の頃に感染していることが多いEBウイルスが関係します。
・下咽頭にできるがんは、60歳以上の男性に多く飲酒が原因です。特に酒に弱いのに無理して飲み続けた人は要注意です。患者の3~4割は食道がんも併発しているとのデータもあります。
・下咽頭のすぐそばにある喉頭にできるがんは、喫煙者に多く、非喫煙者に比べて発症するリスクが30~40倍も高いです。

【咽頭がんや喉頭がんの症状】
・下咽頭にできるがんは、初期段階で食べ物が飲み込みにくかったり、喉が痛んだりしますが、目立った症状がないままリンパ節に移転し首が腫れてから見つかることもあります。
・下咽頭のすぐそばにある喉頭にできるがんは、声のかすれが早くから出ることが多いので、比較的早い時期に気がつき易いです。

【咽頭がんや喉頭がんの主な治療法】
いずれも症状がある程度進んだ場合は、首の周囲から切開してがんを取り出すのが一般的です。
進行した下咽頭では、完全に取り切るために咽頭も切除し、小腸の一部を移植して食べ物の通り道を作り出すような大掛かりな手術となります。手術後 には首に開けた気管の穴から呼吸します。出にくくなった声を出せるようにするため、食道の粘膜を使う食道発声の訓練や、特殊なチューブの埋め込み手術をす る場合もあります。
がんが表面にとどまっている場合などは、内視鏡で切除したり、放射線と抗がん剤を併用したりします。声は残せますが、唾液が分泌されにくくなったり食べ物が通りにくくなったりすることがあります。
ウイルスが原因である場合は、放射線や抗がん剤による治療が比較的効きやすいです。

咽頭・喉頭がんでも比較的に早期であれば、機能を温存して根治できる可能性は高いですが、胚や骨などに転移する場合もあります。
手術をするか、放射線治療と抗がん剤を併用するかんどをおおまかに定めた診療ガイドラインも作られています。
長く続く声がれや喉の痛み、飲み込む時の違和感がサインとなりますので、治療経験の多い専門医のいる耳鼻咽喉科を早めに受診しましょう。